パーソナリティ障害

パーソナリティ障害

パーソナリティ障害(Personality disorder:PD)

以前は人格障害と言われてたが、日本語での人格障害という言葉が、人間の根幹を示して、更には否定的なニュアンスが強いことから2000年代に入り、パーソナリティ障害と語訳が変更された。※このような変更は比較的多く、痴呆→認知症、精神分裂症→統合失調症など。ちなみにパーソナリティとはその人の持ち味や個性、人柄といった意味がありますが、一般的な個性とは性質が違う意味合いで使われています。

一般的と言われる大多数の人に比べて、違う反応(極端な考えや行為)を起こす精神疾患。

ものの捉え方や考え方という認知の部分や心の問題(感情や衝動のコントロール)、それらによって起こる対人関係問題などにより、社会(コミュニティ)に対しての適応を著しく困難にしたりして、本人自身が苦しんだり、周囲の人(家族など)が困ってしまう。

本来、人はそれぞれ色々なことを考えたり行動したりしますが、この障害の場合は、その部分の偏りから問題が生じます。ただ、気を付けないといけないのは、これらの問題が「性格が悪い」とは違うということです。

また、このパーソナリティ障害は他の精神疾患を引き起こす性質があるので、注意が必要とも言われております。

世界保健機構の精神疾患の診断基準(ICD-10)やアメリカ精神医学会の診断基準(DSM-IV-TR 2000)によるパーソナリティ障害の定義では「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害 に由来しないもの」とされています。

患者本人と治療スタッフ、周りの人たちの協力や対策が重要ですが、近年の研究からも治療によって改善する可能性が高いものと考えられるようになってます。

パーソナリティ障害は一つのタイプというものではなく、複数のタイプがあることが分かっております。アメリカ精神医学会の診断基準で10種(世界保健機構の診断基準では8種)ほどあげられています。

アメリカ精神医学会による診断基準では大きく分けると下記の3つに分類されます。括弧内はそのタイプの特徴を記します。

  • A群(奇妙で風変わりなタイプ)
    • 妄想性パーソナリティ障害 (広範な不信感。猜疑心)
    • 統合失調質パーソナリティ障害 (非社交的。他者への関心が乏しい)
    • 統合失調型パーソナリティ障害 (会話が風変わり。感情の幅が狭い。適切さを欠くことが度々ある)
  • B群 (感情的で移り気なタイプ)
    • 境界性パーソナリティ障害 (感情や対人関係が不安定。衝動行為)
    • 自己愛性パーソナリティ障害 (傲慢・尊大な態度を出す。自己評価に強く拘る)
    • 反[非]社会性パーソナリティ障害 (反社会的で衝動的。無謀な行動)
    • 演技性パーソナリティ障害 (他者の注目を集めたい。そのため派手な外見や演技的行動を取る)
  • C群 (不安で内向的であることが特徴)
    • 依存性パーソナリティ障害 (他者への過度の依存。孤独に耐えられない)
    • 強迫性パーソナリティ障害 (融通性が無い。一定の秩序を保つことへの固執)
    • 回避性[不安性]パーソナリティ障害 (自己にまつわる不安や緊張が生じやすい)

 

色々なタイプがあることが分かるかと思いますが、これらのパーソナリティ障害全てに言える特徴の一つとして、発達期(思春期の前)から、その徴候が認められることです。

認知や感情、衝動コントロールといったことから、対人関係までパーソナリティ機能の広い領域に障害が及んでいることです。また、その徴候 が家庭や職場などあらゆる場面で見受けられるなどを挙げることができます。

パーソナリティ障害がある、またはその傾向がある人でひきこもりになるケースも多く見られます。

そのような人の特徴を見ると、自らの能動性を放棄してしまい、家族に依存や寄生することで安定を維持しています。

万能感(自分は何でもできる、特別な存在など)が強い人の場合は、本人が支援や治療を拒むことが多いのも特徴です。

また、他者と関わろうとすると自身の心のバランスを失ってしまうこともあり、そうなると治療や支援が行き詰って、中段に至ることも多いです。

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